61通目:クレームゼロは危険信号! クレーム処理も危険信号!

 

「いや~、参りましたよ…」
定期的に行っている経営者仲間との集まりで、
N社長がポツリ。

 
どうやら、

趣味で通っていた、あるスクールを
退会することになったようなのです。

 
その退会までのいきさつが…、
なかなかのものでした。

 
話は数ヶ月前に遡ります。

分かりやすい説明が評判になっていた
N社長の担当講師Sさんの様子が
少しずつ…おかしくなっていったとのこと。

 
N社長が通っていたのは、
ビジネスパーソン向けの早朝クラス。

朝7時30分からの枠だったのですが、
担当講師Sさんの遅刻が度々起こるようになったのです。

それだけでも問題ですが、
さらには、酒臭い日も…。

担当講師Sさんと仲の良かったN社長は、
まずは、Sさんに直接苦言を呈しました。

「Sさん、最近どうしちゃったんですか。
遅刻はするし、お酒も飲んでますよね。
さすがにまずいですよ。
分かりやすいという評判も落ちていきますよ」

 
その苦言にSさんは、

「大変申し訳ございません。
二度としないように改善します」

素直に非を認めて
改善を約束しました。

 
そのスクールでは、
講師に対する評価について
講義終了後、ネット上で回答するアンケートがありました。

N社長は、
仲の良いSさんではありましたが、
”悪い”の評価をし、その理由も明記しました。

 
しかし…、

その後も改善されず、
遅刻、酒臭い日は続きました。

 
「もうこれはダメだ。Sさんだけの問題ではない。
毎回のアンケートに明記しているのに、運営会社は何をやってるんだ!」

そんな怒りを抱え、
運営会社の窓口に行くと…、

なんと…、

運営会社は、事態をまったく把握していなかったのです!

 
なぜなら、

N社長が回答したアンケートが、
Sさんの手によって、”良い”に改ざんされていたからです。

それでも…、

酒臭いのは、運営側でも気づくはず。

そう考えるも、
早朝クラスは、出社人数も少なく、

また、社員間のコミュニケーションが希薄だったこともあり、
気づかなかったようなのです。

 
この現実に、N社長は心底あきれた…とのこと。

 
まずは、アンケート。

そのスクールのアンケートシステムは、
担当講師も、元データに触れられる状態になっていたようで、
Sさんの改ざんは、日常茶飯事だったようです。

本来であれば、
担当講師は、”閲覧のみ出来る”状態にしておかなければなりません。
元データに触れられる状態をつくった会社の責任も大きいですよね。

”人間は魔が差す生き物”

システムというのは、
性善説ではなく、性悪説でつくることが大切です。

 
次に、コミュニケーション。

この会社では、講師の評価がランキング形式で行われ、
講師間の緊張感が高まっていました。

自分自身の能力を高め、評価を上げることと、
他人の評価が下がった結果、自分の評価が上がること、
これが混同している空気感があったようです。

もちろん、他者と競うことは重要です。
しかし、その前提は、”切磋琢磨”
足の引っ張り合いで競うのは間違いです。

 
ということで、

やむを得ず、退会したN社長でしたが、
この話は、反面教師としては大いに学ぶべき点があります。

誰しも、クレームを受けることはイヤですが、
ビジネスを行っている以上、クレームゼロはあり得ません。
必ずクレームというのは発生します。

 
もしも、あなたの会社がクレームゼロであれば、
それは、”誰かが握りつぶしている可能性がある”

今回のSさんの改ざんのように、
誰かがなかったことにしている可能性を考えた方がいいでしょう。

 
大切なのは、

”クレームが出てしまったあと、どうするか?”

世の中には、

”クレーム処理”

なんていう言葉がありますが、
これでは永遠に改善されません。

”クレームは、処理するものではなく、対応するもの”

真摯に対応するという考え方でなければ、
何も変わらないのです。

 
そういう意味では、
先のスクール運営会社では、
ガス抜き的にアンケートをやっているだけで、
それに対応するという考えはなかったのです。

 
あなたの会社には、クレームはありますか?
クレームが出てしまったときは、どのような対応をしていますか?

まずは、

社長自らが、”クレーム対応”、
この言葉をつかっていきましょう。

使う言葉ひとつで、社内の空気は変わるのです。
 

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