18通目:働く意欲を高めるボーナス、不信感しか高めないボーナス。

 

「おぉ…、なんというタイミング! これはE社長に話そう!」

シンクロニシティを感じながら、新聞を読む。
私には、そんな朝が、度々あります。

 
多くのビジネスパーソンと同じく、
私の毎朝の日課のひとつが、新聞を読むことですが、
読むときに大切にしていることがあります。

 
それが、

”お客さんのビジネスに役立つ情報を拾う”

これを意識することです。

 
人間というのは不思議なもので、
意識したことが、自然と目に入ってきます。
いわゆる、”カラーバス効果”ですね。

 
たとえば、朝のテレビ番組で、

「今日のラッキーカラーは、赤!

なんていわれると、
探しているつもりはなくても、
赤色のものが、自然と目に入ってきますよね。 

 
ただ漠然と読んでいたら見逃してしまうことも、
意識がアンテナとなって、必要な情報を拾うわけです。

この意識のアンテナは、
近々お会いするお客さまに対しては、
より強くなる傾向があります。
それだけ、意識の量が増えているということでしょう。

 
「おぉ…、なんというタイミング! これはE社長に話そう!」
E社長に会う日に、
E社長のビジネスに役立つ情報が目に入ってくるのは、
意識の賜物ということですね。

 
そんな軽い手土産をもって、
E社長の会社であるS社に向かいました。

S社は、関東のあるところで、土木工事・地盤改良工事業を行っています。
東北の震災地域復興にも携わり、E社長も現場に出ています。

 
”E社長=S社”
E社長がいなければ、S社が成り立たない。
いまの会社の体制に危機感を抱き、
シンボリック経営®の導入を決意されました。

 
S社は、2階建てのプレハブ小屋です。
プレハブ小屋の前は駐車場になっていて、
数台の重機と、その横には雑然と資材が並べられています。

 
「お世話になっております。シンボリック経営研究所の村田です」
挨拶をしながら、1階の扉を開けます。

 
1階には数名の作業員がいますが、
こちらをチラっと見て、
会釈とまでいかない…微妙に顔を動かすだけで、
無言…。

 
課題のひとつである挨拶は、まだまだのようですが、
以前は、”会釈もどき”さえなかったことを考えると、
前進しているのは間違いないようです。

いつも通り、勝手にスリッパを出し、社長の待つ2階へ。

 
社長室の扉をノックし、入ります。

「村田先生、お世話になっております。
本日もよろしくお願い致します。こちらへどうぞ」

資料とノートパソコンを持った、作業着姿のE社長が、
応接テーブルへと誘導してくれました。

 
「コーヒー2つ持ってきて~」
1階に向けて大きな声で指示するE社長。
相変わらずの声量です。

 
運ばれたコーヒーを飲みながら、
今朝の新聞記事の話、
会釈もどきで、挨拶はまだまだ出来ていないことなどを話し、
話題は、会社の近況に移りました。

 
「いや~、もう少し売上が欲しいですね…」

「みんなが、あともうちょっと頑張ってくれたら…」

「もう少し営業しないとダメですね…」

 
E社長の言葉の中に、
度々、曖昧な表現が出てきます。

その都度、

「もう少しって、どれぐらいの売上ですか?」

「あともうちょっとって、みんなに何を求めてますか?」

「もう少しって、具体的にどんな営業をしますか?」

小姑のようにツッコむ私。
(注)小姑はあくまでイメージです。
小姑が悪いわけではありません。あしからず…。

 
E社長、メジャラブルにいきましょう。
メジャラブルというのは、”測定可能”ということですよね。
あともう少し…、少しの感じ方は人によって違います。

社長が思っている、”もう少し”と、
社員が思っている、”もう少し”が同じとは限りません。
というか、おそらく違うでしょう。

違うものを、同じものとして動けば、当然ながら歪が出ます。
最初は小さな歪でも、これが積み重なっていくと、
やがて大きな歪になって、最終的には崩れるのです」

 
「また、”もう少し”だと、達成度合いも曖昧になりますよね。
もう少し頑張れ!だと、頑張ったかどうかの判断も曖昧になります。

一般的には、社長が求めるものは高いですから、
社長はまだまだと思い、社員は頑張ったと思う。

社員からすると、頑張ったのに報われない…不満が募るわけです」

 
「だから、メジャラブル。測定可能な表現が重要なんです。
具体的には、”数字”
数字で表現することが重要です。
数字であれば、達成度合いは明確になりますよね」

 
さらに続けます。

「E社長、”売上が上がったら、ボーナスを弾むぞ!”
まさか、そんな言い方をしてないですよね?」

 
E社長は驚いたように、こう答えます。

「いつも言ってますよ!ダメなんですか?」

 
何気なく言ってしまう言葉ですが、
そこには、致命的な欠陥があるのです。

 
私は答えます。

「売上が上がったら、ボーナスを弾む、
これを聞いた社員たちは、おそらくこう思っています。

”どうせ…もらえないだろう…”

売上が上がったら…、この曖昧な表現では信憑性がないのです。
信憑性がないから、働く動機付けにもならないわけです」

 
「表現の仕方が、売上〇〇億円、営業利益〇千万円、
これを達成したら、必要経費・内部留保を除いた余剰分を
社員で分配する。

具体的な数字で表現し、さらに、具体的な計算方法を提示すれば、
信憑性は一気に高まりますよね。

メジャラブルにすることで、働きがいを高めることができるわけです。
ただし…、メジャラブルにすると、社長は逃げられません。
覚悟が必要なんですよね

 
私の話を聞いたE社長は、

「なるほど、メジャラブルですね。
ボーナスのメジャラブル化は、
体制が整っていない、うちのような会社には早いかもしれませんが、
発する言葉のメジャラブル化なら、すぐ出来ますね。
早速取り入れていきます」

  
私たちは、知らず知らずのうちに、何も考えずに、
曖昧な表現を使ってしまいがちです。

もちろん、日常会話では、何も問題ありませんが、
経営については別です。

特に、経営者が発する言葉が曖昧の場合は、
組織自体が曖昧な組織になりがちです。
曖昧な組織では、目標達成など出来るはずがありません。

 
ということで、

あなたは、メジャラブルに話していますか?
メジャラブルは、シンボリック経営®においても
大事なポイントになります。

 

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