「辞めさせて頂きます」
ある日突然、社員が退職願を提出してきたと話すO社長。
その言葉からは、
悲しさ、寂しさ、怒り…、
そして何より、
自責の念が感じられました。
これは、
経営者になってみないと分からないことですが、
人が辞める…というのは、
本当に辛いことなのです。
大企業とは違い
社員の顔と名前が一致する中小企業では尚更。
そのダメージは相当なものになります。
私自身にも経験がありますが、
自分自身を否定された…、
そんな感じがするものなのです。
今回退職願を提出してきたIさんは、
経営幹部候補でした。
将来的には経営の中枢を担う人材になってもらうべく、
大切に育ててきた人材だったのです。
しかし…、
ある日突然の退職願提出…。
O社長はやりきれない気持ちだったことでしょう。
そんなO社長に私は言いました。
「O社長、Iさんが辞める…というのは
ひとつの現象でしかありません。
その現象に一喜一憂するのではなく、
こうなった原因を追究して、改善していきましょう」
今回のことに限らず、
私たちは、時として、”現象”にとらわれて、
その現象を改善しようとしてしまいます。
しかし、
原因を明らかにしない、特定しないまま
現象を改善しようと思っても、うまくいきません。
たとえば、
よくあるのが、”売上不振の原因”
なぜ売上が上がらないのか…?
これについてヒアリングすると、
・商品が悪い。
・営業のシステムが良くない。
・営業パーソンのやる気がない。
・値段が高い。
いろいろな意見が出てきますが、
これらはすべて現象。
実際には、この中のひとつが原因で、
それ以外は、
その原因から派生している現象であることが多いのです。
仮に、
”値段が高い”
これを改善しようと値下げをしても
商品自体が悪かったら、本当の改善にならいのは、
容易に想像がつくと思います。
そこで、
O社長には、
今回の退職の原因は何だったのか?
今後のためにも、
Iさんと腹を割って話してみることを
お願いしました。
ただし、
退職の撤回は期待しないこと。
一度退職を決意した人の気持ちを変えるのは難しいからです。
説得モードになればなるほど…、
本心を聞くことは出来なくなります。
また、
仮に退職を撤回したとしても、
火種はくすぶっています。
いつ爆発するか分かりません。
ということで…、
後日談ですが、
今回のIさんの退職は、
引き抜きによるものでした。
皮肉にも、
これまで育ててきた成果が
他社の目に留まった…ということです。
高額オファーを受けての転職とのことでした。
もちろん、
そもそものIさんの実力もあったとは思いますが、
逆説的な意味では、
育成の方針が間違っていなかった、
ということでもあります。
そうなると…、
大切なことは、
まさに今進めている、”シンボリック経営®”
第一優先順位がお金ではなく、
働きがい、働く喜びとなるような会社づくりをすること。
O社長の中でも、
やるべきことがより明確になったようです。
”現象と原因”
どうしても目に見える現象にとらわれてしまいがちですが、
そもそもの原因を突き止め、改善すること。
これが重要なことです。
さて…、
いま、あなたが改善しようと思っていることは、
原因ですか?それとも…、
一度しっかりと分析してみましょう。
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