「また、失敗させてあげましたよ」
経営者仲間との勉強会で、M社長が言いました。
失敗したのに、なぜか嬉しそうなM社長。
M社長の会社は、
いまでこそ順調ですが、
数年前までは…、ちょっと厳しい状況にありました。
その原因のひとつは…、
”M社長”
M社長は、
誰もが知る、販促事業を営む会社に入社し、
MVPを何度も獲得。
その後、独立したわけですが、
一言で言えば、超優秀な人なのです。
優秀な人の落とし穴…、
それが、
”人に任せられない”
自分でやった方が早い、
自分でやった方が正確、
自分でやった方がうまくいく、
そんなつもりはなくても、
ついつい口を出してしまう。
社員のやることが、
いちいち気になるのです。
そうなると…、
社員は社員で、やりづらい。
口には出さなくても、
「だったら、私はいらないでしょ…。自分でやれば…」
腹の中ではそう思っていたのでしょう。
社員が居着かない会社になってしまったのです。
M社長自身は、
長く続く成功、
長く続く会社、
長く愛される会社、
これをつくりたいと思っていたわけですが、
結果は真逆の方向。
相談を受けた私は、
M社長に言いました。
「M社長との仲ですから、ハッキリ言いますね。
いまのままでは、ダメ会社になりますよ。
ダメな会社というのは、上が下の仕事を奪っていく傾向にあります。
社長が専務の仕事を、
専務が部長の仕事を、
部長が課長の仕事を、
その結果、
本当にやるべき仕事をやらない。
ダメになるのは当たり前ですよね」
「社長がやるべき仕事は、
いろいろな考え方がありますが、大きく分けて3つです。
それが、
企業の方向づけ、
資源の最適配分、
人を動かす。
日常の繰り返し仕事に、社長は口を出すべきではないのです」
「分かりやすく言えば、戦隊ヒーローです。
戦隊ヒーローは、平和な時は、普通の人です。
その能力に気づかれることはありませんよね。
でも、いざ、ピンチになった時…、
力を発揮して、周りを助けてくれる。
社長も同じだと思うのです」
「確かに、社員がやることは気になります。
なんでそうなるんだ…って思うこともありますが、
グッと堪えることも必要です。
M社長も、失敗させてもらったから、
MVPを何度も獲れたのではないですか?」
M社長は私の話を聞き、言いました。
「確かに…、そうですね。
失敗したくない…という想いが強すぎて、
失敗する前に、その穴を塞いでいました。
村田先生の話を聞いて、
フラッシュバックのように、
記憶が蘇ってきましたが、
前職では、失敗して冷や汗をかいたことが…、
一度や二度じゃなかったですね…」
もちろん、
会社が傾くような、大失敗を放っておいてはいけませんが、
あとからフォローできるような失敗なら、
あえてさせてみる。
これは、
言うのは簡単、実行するのは、とても難しいですが、
その失敗が、社員の経験となり、社員が成長する。
社員が成長すれば、組織としても強くなる。
組織として強くなれば、長く愛される会社がつくれる。
繰り返しますが、
会社が傾くような、大失敗を放っておいてはダメです。
失敗してもいい…とは言いませんが、
新人の登竜門のような仕事をつくることは
会社にとっては大切なことだと思うのです。
ということで、
いまでは、権限移譲を行い、
失敗させられる環境をつくったM社長。
「いい意味で、最近暇です(笑)」
ヒーローの出番がないということは、
会社がうまくいっている証拠でもあります。
暇な分、
本当にやるべきことに力を注いでいるM社長の会社は、
さらに大きくなっていくことでしょう。
M社長が変わらず、
以前のままだったら、
間違いなく、M社長に依存する会社になっていたでしょう。
誰かひとりに依存する会社は、
長くは続かない。
シンボリック経営®では、
シンボル中心の組織をつくっていきますが、
人に依存しないことは、とても重要なのです。
ところで…、
あなたは、戦隊ヒーローになれてますか?
ピンチの時に力を発揮するために、
社長のやるべき仕事に集中していきましょう!
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