156通目:30年共にしただけでは、後継者は育たない。

 
「うちの経営は独特なので、最初はなじめない」
後継者選びに二度失敗し、三度目の正直とばかりに、
後継者育成プログラムを開始した、ある上場企業経営者の言葉です。
 
 
二度の失敗…、

 
 
一度目は、

社員数名の頃から
30年以上仕事を共にし、一番近くで見てきた人材を後継者にするも、
わずか1年で辞任。

 
 
二度目は、

実子と、約30年勤めていた社員の2名を後継者候補にするも、

 
「2人とも、うちの経営が分かっていない」

 
と候補から外したとのこと。

 
 
現在は、
冒頭の後継者育成プログラムで、後継者育成中。

経営者自らが先生となり、課題を与え、フィードバック。
約20名の参加者同士で採点し合い、順位を付け、
半年に一度、下位2名が脱落するシステムのようなのですが…、

 
 
私自身は、ちょっと引っ掛かった点があります。

 
 
それは、

 
一度目も、二度目も、

 
”30年以上共に仕事をしてきた人が、脱落している”

 
ということ。

 
 
つまり、

 
 
OJT (オン・ザ・ジョブ・トレーニング) だけでは、
経営者の想いや考えは伝わらない。

背中を見せることは大切ですが、
背中を見せるだけでは伝わらないこともあるのです。

 
それを、
 
「うちの経営は独特なので、最初はなじめない」

「2人とも、うちの経営が分かっていない」

 
こう切り捨ててしまっては…、

 
だからこその
現在の後継者育成プログラムなのかもしれませんが…。
 
 
 
いまは、

上場企業、中小企業問わず、
後継者不足、後継者不在が問題になっています。

 
 
たとえば、

 
  
ニデック(旧日本電産)では、
有価証券報告書に、こんな記載がされたことがありました。

 
”代表取締役会長である永守重信(氏)への依存に係るリスク”

 
ニデックでも、
永守重信氏という絶対的なカリスマからの
後継者へのバトンタッチに苦労しています。

 
  
ユニクロの柳井正氏も、
ソフトバンクグループの孫正義氏も、

  
 
カリスマのあとの
後継者へのバトンタッチは、一筋縄ではいきません。

 
 
その最大の理由は、
カリスマ故の、

 
”経営者自身が求心力になってしまうこと”

 
永守氏や柳井氏、孫氏のような
カリスマが引っ張る上場企業はもちろんですが、

この現象は、
経営者と社員の距離が近い、中小企業ほど顕著であると考えています。

 
 
上場企業の場合は、
後継者問題が、重要な問題とは言いつつも、
何とかなる可能性が高い。

 
なぜなら、

 
放っておいても、

 
”優秀な人材が集まってくるから”

 
 
それに対して、

 
中小企業の場合は、

一般的に考えれば、
優秀な人材が入ってくることは難しい。
残念ながら、これが現実です。

 
 
だからこそ、

 
 
”シンボリックを求心力に!”

 
 
シンボリック経営の考え方が重要であると
私自身は考えています。
 
 
 
確かに、

 
 
カリスマ経営者がいれば、
そのときは、業績が上向くでしょう。

 
パッと上がって、パッと散る、
打ち上げ花火のような経営でもよければ、
それでもいいでしょう。

 
 
しかしながら、
私たちは違うはずです。

 
”長く続く成功、長く愛される会社を目指す”

 
そのためには、
求心力をシンボリックに移していく作業が
絶対に必要なのです。

背中を見せるだけではダメです。

 
 
冒頭の会社のように、
30年共にしても、伝わらないものは、伝わらないのです。

 
つまり、

 
”経営者であるあなたの考えを整理し、文字言語化し、
それを可視化できるようにすること”

 
そして、
 
”後継者育成というのを、長期計画で考えること”

 
これが重要なのです。

 
 
考えてみれば分かりますが、

ある日突然、

 
「会社を継いでくれ!」

 
そう言われたら
誰だって戸惑いますよね。

 
 
でも、
 
 
多くの経営者は、これをやってしまうのです。

 
その原因の多くは、

 
”自分自身の引退が近くなって、ようやく後継者を探し出すから”

 
時間がなくなって、
慌てて後継者を選ぶと、
選んだ方も、選ばれた方も不幸です。

 
後継者選びは長期戦なのです。

 
継いでもいいと思える、
 
 
いや、
 
 
継ぎたくなる会社を
まずはつくることが重要なわけですが、

言うは易く行うは難しで、
そう簡単にはつくれません。
 
 
たとえば、

 
 
借金まみれの会社だったら、
継ぎたいと思う人はいませんよね。

財務計画ひとつとっても、
長期戦なのです。
 
  
さて、

 
 
あなたの会社の後継者問題はいかがでしょうか?

 
「ぜひ、継がせてください!」

 
そう言わせる会社になっているでしょうか?

最も厳しい後継者候補の目になって、考えてみましょう。

 

 
 
 
 

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