「もっと視点を上げていきましょう」
決算報告を行うK社長に、私は声を掛けました。
土木工事業を営むK社長の会社は、
売上が、対前年比で113%。
黒字も維持し、ホッとしている様子のK社長。
そんなK社長の心中に、水を差す…
つもりは毛頭ないのですが、
”対前年比”
という視点のみで、
決算報告を行うK社長に、
ちょっと不安を感じたのです。
もちろん、
対前年比で見ることは、悪いことではありません。
「前年よりも成長している!」
「前年よりも悪くなっている…」
物事を判断する、
ひとつの基準値として、
”対前年比”は活用できます。
しかしながら、
”ビジネスは、市場における他社との競争”
自己ベストを更新し続けるのはもちろんのこと、
同業他社との競争に勝つことも、重要なのです。
つまり、
同業他社に比べてどうなのか?
もっといえば、
業界全体と比べてどうなのか?
この視点を持つことが、
ビジネスを成長させるうえでは
必要なことだと思うのです。
たとえば、
K社長の会社は、前年比113%でしたが、
もしも…、
同業他社、あるいは、業界全体として、
120%成長していたとしたら…、
前年比113%では、
喜ぶことは出来ませんよね。
言うまでもなく、
同業他社に、シェアを奪われているからです。
こんな話をしていると、
K社長は言いました。
「でも…、
上場企業ならまだしも、中小企業の場合は、
同業他社の数字を知ることは難しいですよね。
私も、注目している競合と比較したいのは、やまやまですが…」
それを受けて、私は言いました。
「そうですよね。
確かに、中小企業の数字を知ることは難しいですよね。
帝国データバンクなどを使って、
数字を調べることも出来ますが、コストが掛かります。
また、調査依頼したところで、相手が応じてくれるかも分かりません」
「しかし、
大切なことは、自社の前年比以外の視点を持つことです。
直接知っている同業他社である必要はありません。
それこそ、同業の上場企業でもいいですし、
業界紙の情報から引っ張ってきてもいい。
会計システム会社・TKCが集計している
BAST(https://www.tkc.jp/tkcnf/bast/)も参考になると思います」
「大切なことは、
業界全体の伸び率よりも、自社の伸び率が高いかどうか?
少しずつでも、自社のシェアを伸ばしていくことです」
「言い方を変えれば、
”お客さまの中での、自社の順位を高めていく”
ということです。
お客さまから見て、自社の順位は何位なのか?」
「インフレが進む中、
今後は、取引先の取捨選択も本格化するでしょう。
そのときに、
そのお客さまにとって、自社の順位が低ければ、
簡単に切られてしまう」
「繰り返しますが、
ビジネスは、市場における他社との競争。
自社の順位を上げていかなければ、生き残れない。
中小企業に、シェアは関係ないという人もいますが、
中小企業が考えるべきシェアもあります。
それが、
お客さまの売上高のうち、自社が占める割合です」
私の話を聞いたK社長は、
「なるほど…、村田先生の話を聞いて、
確かに、私の視点は低かったですね。
前年比を上回ったぐらいで、喜んでいちゃダメですね」
新たな基準値を探し出したK社長。
きっと、来年の決算報告の様子は、
ガラッと変わっていることでしょう。
ということで、
持つべき視点は、自社の対前年比ではなく、
同業他社、あるいは、業界全体と比べる視点。
自社の伸び率が、
同業他社、あるいは、業界全体の伸び率よりも高ければ、
お客さまの中での、自社の順位も上がっているはずです。
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