151通目:語られぬ理念は、社員の言葉に敗れる。

 

前職についてSNS投稿51%時代に、経営者が知っておくべき“象徴”の力
~社員の発信が企業ブランドをつくる、シンボリック経営の視点から~

 
  
2024年に転職した正社員1,500人を対象とした
マイナビの調査によると、
「前職についてSNSに投稿したことがある」と答えた人が、
全体の51%に上ったとのこと。
 
  
20代では、その割合が61.4%。

30代でも、54.2%。

若い世代の2人に1人以上が、
前職に関する情報を、SNSで発信しているということになります。

 
  
”この現象をどう捉えるべきか?”

 
  
単なる世代の特性、SNS好き、
という理解にとどめてしまっては、見誤ります。

 
  
これは、
 
  
私たち経営者に対する、”新しい問いかけ”であり、
時代から突きつけられた”経営姿勢への通信簿”なのです。

 
  
SNSが、“企業の裏の顔”を映し出す。
 
  
今回の調査結果では、

ポジティブとネガティブの両方を投稿した人は、47.8%。

ポジティブな内容のみ投稿した人が、43.4%。

ネガティブな内容のみ投稿した人は、10%以下だったようですが、

 
最も影響力を持つのは
 

”ネガティブな本音”

 
だといわれていますよね。
 
 
  
「休暇制度が名ばかりで、実際は取りにくい」

「上司が感情的で、議論できない空気」

「人がどんどん辞めていく」

 
   
こうした投稿は、
SNS上では、“個人の意見”として流れていきますが、

読んでいる側、特に求職者や取引先にとっては、
極めて”信ぴょう性の高いリアル情報”として捉えられがちです。

 
  
SNS投稿は、

もはや“身内の愚痴”ではなく、
“世間の評価”として検索され、拡散され、
企業イメージに直結する存在になっているといえます。
 
 
しかも、
 
 
昔は、居酒屋で発散されていた愚痴は、
その場限りではなく、デジタルタトゥーとして残ってしまう…。
 
  
つまり、
 
  
SNSは、”顧客が調べる情報源”でもあり、
”求職者が企業を判断する材料”でもある。

 
  
そしてなにより、

 
  
”社員の本音がにじみ出るリアルメディア”として、
企業の通信簿的な意味合いを持つようになったのです。

 
  
ここで、
私たちが大切にしている
シンボリック経営の視点を重ねて考えてみましょう。

シンボリック経営®の8つの柱は、以下の通りです。

 
1.Management(経営者) : 経営者としての姿勢と方向づけ
2.Strategy(戦略) : 象徴を活かした戦略設計
3.Spirit(魂) : 組織に宿る魂・価値観
4.Story(物語) : ストーリーとしての理念浸透
5.Solidarity(連携) : 一体感・連帯のある組織文化
6.Simplify(シンプル) : シンプルで伝わる言葉・ルール
7.Sustainable(長く愛される) : 持続可能な仕組みと姿勢
8.Shape)(カタチ) : 目に見える象徴的なかたちに落とす
 
SNS時代においては、
社員ひとり一人が“語り手”となり、
会社の姿勢や価値観を。世の中に映し出す鏡のような存在になります。

 
  
特に、
 
・Spirit(魂)

・Story(物語)

・Shape(カタチ)

 
これらを軽んじた会社は、
その“空虚さ”が社員のSNSによって露呈してしまうということです。

 
 
会社に“魂”がなければ、社員の口からは何も出てこない。

 
逆にいえば、

 
 
”本当に社員に届いている理念や行動指針は、語られる”
 
 
ということです。

 
私が関わったある企業では、
社長自ら「私たちの会社は、こういう信念で動いている」と明確に語り続け、
それを、ロゴ・スローガン・社内イベント・日々の朝礼まで一貫して伝えていたところ、
社員のSNS投稿も前向きなものが自然と増えていき、

 
「自分たちのやっている仕事が、お客さまに喜ばれている。転職して大正解!」
 
こんな投稿も出てきました。

 
シンボリック経営®8つの柱を元に語り続けたことが、
社員の行動と言葉にまで落とし込まれたということです。

目先の“仕掛け”ではなく、
社員の“共感”が自然とブランドを語り始めているのです。

 
 
先ほどで触れた、ネガティブなSNS投稿についても、
大元をたどれば
経営の姿勢と実態のギャップが原因と考えられます。

 
 
たとえば、
 
 
・社員は大切と掲げながら、昇給は二の次。

・社会貢献をPRしながら、実際には自己都合だらけ。

・風通しのよい社風といいつつ、上意下達のみの古い体制。

 
 
こういった、

”企業のストーリーと現実のズレ”があるとき、

社員のSNS投稿は、最も鋭くその矛盾を突いてくるのです。

 
 
このとき、

企業が取るべき対応は、”投稿を抑え込む”ことではなく、

“ズレを修正する”こと。

 
それがまさに、

シンボリック経営®でいうところの

”Simplify(シンプル・明快さ)”と、”Shape(象徴化)”の重要性なのです。

 
 
では、

 
 
社員がポジティブに語りたくなる会社とは、どんな会社でしょうか?

 
・ビジョンが明確で、自分の仕事とつながっている会社

・理念が絵空事でなく、日々の行動に落とし込まれている会社

・経営陣が一貫して“自社の意味”を語っている会社

・チームに連帯感(Solidarity)がある会社

 
こうした会社は、
SNSで社員が、”会社の魅力”や、”成長の実感”を語りたくなる。

それは企業PRではなく、
“自分ごと”としてのストーリーの発信となるため説得力も増す。
 
この自然発生的な語りこそ、
現代における最強の企業ブランディングになると
シンボリック経営®では考えています。

 
  
いま、情報は、

“企業発信”から、“社員発信”の時代へと移行しています。

この時代において、経営者がすべきはただ一つ。

 
それは、

 
”会社の意味”を、社員が語れるようにすること。

 
そのためには、
理念を語り、象徴を整え、文化を形づくる必要があります。

それこそが、
シンボリック経営®の本質であり、経営者の役割そのものです。

 
 
社員が、SNSで会社を語る。
その言葉に、魂が宿っているかどうか。
 
それは、
 
 
”経営に対する通信簿”
 
 
ともいえるのです。

 
象徴が整えば、自然と語られ、語られれば、会社は長く愛される。
 
あなたの会社には、社員が語れる象徴がありますか?
 
もっと端的にいえば、
語られるだけの価値を創り出していますか?

 
シンボリック経営®8つの柱について、
考えてみると良いかもしれません。

 
 
 
 

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