69通目:想いが伝わる方法。

 
イトーヨーカ堂の創業者で、
セブン&アイ・ホールディングス名誉会長である伊藤雅俊さんが、
お亡くなりになりました。

 
東京・浅草の小さな洋品店であった「羊華堂」から、
誰もが知る巨大流通グループを創り上げた伊藤さん。

戦後の昭和20年(1945年)12月に、
母と兄と三人で、東京の焼け跡からスタートさせた小さなビジネスは
2023年2月期・日本の小売業で初となる売上高10兆円超えが確実視される
ビックビジネスに成長。

いまとは違う時代背景ということも
もちろんありますが、
80年弱で、企業をここまで成長させたというのは
本当に素晴らしいことです。

 
そんな伊藤さんの原点にあるのが
母・ゆきさんの教えです。

著書「商いの道」を読んでいると
そのことがよく分かります。

 
伊藤さんの原点のひとつには、
ゆきさんの教えである

”ないない尽くしから、商いというものは出発する”

というものがあります。

 
「お客さんは来ないもの、
取引をしたくても、お取引先は簡単に応じてくれないもの、
銀行を貸していただけないもの」

ないことが当たり前、
あるようになることの有難味が分かったうえでスタートすれば、
商売の形態、精神力、お客さまとの関係など、
力強く推し進めていくことができる。

 
母・ゆきさんは、
戦争、関東大震災などで、店がなくなること3回。

およそ20年ごとに振り出しに戻されたわけですが、

”ないことが当たり前”
 
その都度、不屈の精神で復活してきたのです。

  
普通は…、

心折れてしまいそうですが、
ないことが当たり前という前提を持つことで
失ったものではなく、
これから創る未来に目を向けられたのだと思います。

 
とはいえ…、

簡単なことではありませんよね…。
私だったら、しばらくは立ち直れないかもしれません…。

 
また、

こんな教えもあります。

 
「ご近所あっての羊華堂だから、
周りにほこりをたてないように、打ち水をしなさい。

そして、何よりお客さまを第一に考えなさい。
お客さまあっての羊華堂ですから」

気配りができる、お陰さまの精神を忘れなかった人だったそうです。

 
さらには、

こんな教えもあります。

 
”お客さまがいらっしゃらない時でも、座ってはいけない”

営業中に、座ることを禁じるものです。

 
「お客さまがいらっしゃったときに、
すぐに対応できる態勢を整えておきなさい。
まだお見えにならないお客さまのことを考えながら、
立って待っていなさい」

いまの時代には…、

もしかしたら難しい教えかもしれませんが、

”お客さまは来てくださらないもの”

そう思えばこその教えということです。

 
この教えが素晴らしいのは、
具体的な行動に落とし込んでいるという点です。

「お客さまを大切にしなさい」

「お客さま第一主義でいきましょう」

そう、口頭で指示するのは簡単です。

 
言われた社員も、
指示された ”意味は分かる” と思います。

 
しかしながら、

”意識まで” 伝わるかは別問題です。

 
よく社長が、

「私の想いを、まったく理解してくれないんだよね…」

と、ぼやいたりしますが、
これはある意味、当たり前の話です。

 
誤解を恐れずに言えば…、

「社長の想いなんて、知ったこっちゃない!」

これが社員の本音です。

あなたが社員だった頃を思い出せば…、

分かるのではないでしょうか…。

 
つまり、

想いを伝えただけではダメで、
行動に落とし込むこと。

”行動から変えていく”

それも、

”小さな行動から変えていく”

座らないという教えが、
まさにそれです。

  
座ってゆっくり、お茶でも飲みながら待っているのと、
お客さまのことを思い描きながら、立ったまま待っているのとでは、
お客さまが来てくれたときの対応が変わってくるのは
至極当然な話です。

 
その小さな一つひとつの積み重ねが、
いまのイトーヨーカドー・グループの成功につながっているのだと思います。

 
想いを、
経営理念やビジョン、ミッションなどの
文字言語化することは、とても大切です。

しかしながら、

それだけでは伝わらないし、動いてくれません。
意識を変えたかったら、まず行動から変えていきましょう。

 
・徹底した環境整備

・挨拶の徹底

・電話はスリーコール以内で出る

・お客さまが来社したら、立つ

など、

小さな行動から変えていくのです。

 
これらの行動が徹底されたら、
お客さまにも喜ばれます。

喜んでもらえたら、
それがうれしくなって、もっと何かできないかな?
そう考えるようになります。

結果として、
お客さまに喜ばれて、売上も伸びる。

 
意識改革も大切ですが、”まずは行動改革から”

シンボリック経営®で、大切にしていることのひとつですが、
そのときの注意点は、

指揮官先頭で、”まずは社長から!”

社員たちは、社長が思っている以上、社長のことをよく見ていますよ!

 
さて、
あなたの会社では、
どんな小さな行動を徹底していますか?
 
 
 
伊藤雅俊さんのご冥福をお祈りいたします。
「商いの道」を読み返したいと思います。
 
 
 

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