「だいぶ浸透してきましたよ」
社内の全体会議を終え、
会議室から出てきたE社長が、
ホッとした笑顔を見せます。
浸透してきたもの…、
それは何かというと…、
”数字”
正確に言うと、”数字の意味”です。
これまでのE社長は、
「今期の売上目標は○○○、目標利益は□□□…」
ただ単純に、金額を言っているだけでした。
そうなると…、
社員はポカーン…。
置いてけぼりとなり、社長の独演会状態に…。
意味も分からぬまま、
数字だけを追いかけさせられる社員たちは、
どこか他人事。
会議でも、的外れな問答が繰り返されていたのです。
この様子を見ていた私は、
E社長に提案しました。
「E社長、E社長の頭にあることを、
きちんと文字言語化しましょう」
たとえば、
・なぜ、儲からないといけないのか?
・儲かることで、会社はどう変わるのか?
・儲かるためには、粗利はどれぐらい必要なのか?
・会社の安定のためには、どれぐらいの現預金が必要なのか?
・儲かるためには、どこに力を入れていけばいいのか?
などを文字言語化し、
社員たちと共有するのです。
すると、E社長は、
「それ、いいですね!
でも、いざ文字言語化するとなると…、
なかなか骨が折れそうですね…」
漠然とした、抽象的な問いほど、難しい。
E社長も、それを感じたようです。
早速、考え始めたE社長に、
私は言いました。
「E社長、これをやる場合には、注意が必要です。
それは、数字の公開が絡んでくるということです」
「E社長の会社では、
社員に対して、会社の数字は公開していませんでしたよね。
公開しているのは、全体会議で話す売上高ぐらいでしょうか。
でも、数字に意味を持たせるということは、
数字の公開もある程度必要になります。
いわゆる、OBM(オープンブック・マネジメント)です」
「OBMは、一度始めたら、止められません。
止めたら、”何で公開しないんだ!”、不満と不安が起きるからです。
OBMをやるには、社長の覚悟が必要です」
私の話を聞いたE社長は、
「確かに…、そうですね…。
いいときは公開できても、悪いときは…あまり後悔したくないですよね…」
しばらく悩むE社長。
「それでは、次回までの宿題に…」
そう言いかけたときに、
「やりましょう!」
自分自身を納得させるように、
力強く、E社長が答えました。
「いつかはやらないといけないと思っていたので、
いま、やりましょう!」
社長の仕事は、”決断すること”
決断さえできれば、あとは進むしかない。
E社長の経営者としての資質を感じました。
決断したE社長に、
私は、こんなアドバイスをしました。
「どうせなら、いろいろな情報の整理をしていきましょう。
たとえば、
取扱商品ごとの利益率や、取引先ごとの利益率、
取扱商品の在庫率など、これまでやっていなかったことを
整理していきましょう」
「会社は、たくさんの情報を持っていますが、
ほとんどの情報は死んでいます。
”情報には、意味をつける”
そのうえで集計させ、社内に発信・共有していかないと
宝の持ち腐れです」
「ただし、注意点もあります。
情報は使わなければ意味がありません。
最初は使っていても、時間の経過とともに、
情報を集計すること自体が目的になってしまうことがあります。
あくまで、使うことを目的として、きちんと仕組みを作っていくことです」
ということで、
少しずつ情報に意味を持たせ、
活用し始めたE社長の会社の業績は上がっていくことでしょう。
なぜなら、
数字・情報を通しての、共通言語が出来たから。
的外れなやり取りは消え、
業務効率のアップが実現できるからです。
シンボリック経営®でも、
シンボルを中心に、共通言語をつくっていきます。
社長と社員が同じ認識になることで、
組織力は間違いなくアップします。
あなたの会社では、
社長と社員の認識は、同じものになっていますか?
共通認識のためには、
文字言語化の力はもちろん、
シンボルの力で可視化することも大切なのです。
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