「こんな返事が来ましたよ」
そういって、
メールのプリントアウトを手渡すA社長。
そのメールを見て、
私は愕然としました・・・。
まずは、
事の経緯を説明しましょう。
ある日、
私のお客さまのところに、
取引先から、封書が届きました。
その封書には、
ある税務判断についての記載がされていたのですが、
その判断は、
私のお客さまにとっては、不利になる判断でした。
A社長から、
アドバイスを求められた私は、
「この判断には、納得いかない点もあるので、
一度、投げ返してみましょう」
こちらの考えを、
参考資料を付けて、
論理的に投げ返したのです。
(ちなみに、私は税理士でもあります)
その返事が、
冒頭の返事なのですが・・・、
この返事も、すんなり来たわけではなく、
何週間も待たされた挙句、
催促してのものだったのです。
そして・・・、
肝心の返事の中身ですが、
「〇〇(←大企業名)にも、同じ条件でやってもらっているので、
この条件で了承してもらいたい」
簡単にいうと、こんな感じでした・・・。
こちらの意図をまったく理解していない。
おそらく、参考資料も読んでいないのでしょう。
初めから結論ありきで、
検討すらしていない。
この取引先自体も、
そこそこの大企業ではありますが、
大企業で働いている人が、
「大企業がやってるから間違いない」
という、
まったく論理的ではない返事をしてくることに、
愕然としたのです・・・。
再度、アドバイスを求められた私は、
「この担当者には、何を言っても無駄ですね。
この担当者が、上に掛け合う気概がある人なら良かったのですが、
どうやら今回はそうではなさそうです」
「ここからは経営判断となります。
相手との関係性を考慮してのやり取りが必要になります。
これからも付き合っていく相手であれば、
これ以上、先方に何か言えば、仕事をなくすリスクもあるでしょう」
「だからといって、
すべてを受け入れるのは違います。
もう一度だけ、参考資料も含め説明しておきましょう。
そのときは、メールではなくて、
電話か、対面の方がいいですね。
どうしても、メールだと誤解されたり、つっけんどんな印象を与えてしまいます」
「そのうえで、
こちらの考えをしっかりと主張し、
万が一、税務調査が入り、否認指摘された場合には
損失についての話し合いの場を持たせてほしい、
など、事前に要求しておきましょう」
もちろん、
私の意見が間違っている可能性も十分にあるわけですが、
大切なことは、
”論理的に考えているか否か”
ということ。
先方の返事が、
論理的であれば、
こちらも考えることが出来たのですが、
そうではないので・・・、
何とも判断が難しいところです。
ということで、
「大企業だから間違いない」
大企業だから大丈夫という
思考停止の前例主義は、キケンなのです。
また、
「前例がないからやらない」
そんな思考停止も、よくありますよね。
確かに、
前例があれば、安心です。
失敗する確率は低いです。
しかし、
それでは、
”新しい何かは生まれない”
シンボリック経営®の考え方のひとつが、
”企業の5年後を支えるのは新規事業、10年後を支えるのがシンボリック”
これまでも、
何度かお伝えしてきましたが、
現状維持のまま、
長く続く成功、長く愛される企業は
あり得ないのです。
どんな会社の経営でも、
”経営は、環境適応業”
世の中の変化に対応して、
変化していかなければ、生き残れません。
そのときに、
”前例がない”
これが通用しないのは、
コロナショックでも、よく分かったと思います。
さて、
あなたの会社内では、
思考停止語を聞くことはありますか・・・?
その思考停止語の放置から
会社がおかしくなるのです。
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