64通目:経営者のパワー配分、正しく出来てますか?

 
「なんだかうまくいってないんですよね…」
お客さまであるM社長が呟きました。

 
M社長の会社であるT社は、
今期の前半は絶好調。
当初の予定を上回る契約数を獲得していました。

 
しかし…、

その勢いが、
後半になると失速…。

黒字と思われていた業績が、
損益分岐点近くまで落ち込んでしまったのです。

 
M社長は言います。

「組織づくりをしっかりやってきたし、仕事は回るはず。
事実として、前半は良かった。
それがなぜ、後半はダメなのか…」

 
私は、M社長の話を聞きながらも、
原因の見当はついていました。

この原因については、
いまから7ヶ月ぐらい前に遡ります。

M社長から、
ある相談をされたのです。

 
その相談とは…、

「所属している経営者団体の役員を頼まれてしまいました。
お世話になっている方からの依頼なので、
無下に断るわけにもいかず…、ちょっと悩んでいます…」

 
私は言いました。

「M社長、その役員というのは、どういった活動をするのですか?
経営者団体ということは、勉強会や交流会の開催など、
いろいろとやることが多そうですが、
どれぐらいの時間を費やす感じでしょうか?」

 
少し困った表情をするM社長。

「勉強会や交流会は毎月あります。
そのための準備に、毎週打ち合わせがあるとは聞いてます…」

 
この答えを聞いて、
私は言いました。

「であれば、いまは断った方がいいでしょうね。
おそらく、かなりの時間を奪われることになります。

T社は5期目の若い会社です。
これまでの努力が成果につながり始めたいま、
M社長の時間が奪われるのは厳しいです

「シンボリック経営®も導入したばかりで、
まだまだこれからです。
M社長の考えが、社員に浸透しているとは言えません。
いまはまだ、社長の存在が必要なんです

「いまの会社の現状をお話しして、
いまはお受けできる状態でない旨、お話してみてください。
私のせいにして構いませんので」

 
そんな話をして、
断るように促したのですが…、

どうやら、
M社長は断れなかったようです。

 
まぁ…、

断るというのは、
言うのは簡単、実行するのは難しい…。
私自身にも、心当たりがあります…。

 
ということで、

役員となってしまったM社長は、
案の定、多くの時間を奪われることになったのです。

その結果、
T社にかけるパワーが減りました。

  
これが、

そもそも社長との接点が薄い大企業であれば
役員を引き受けても問題ないのですが、
社長の存在が近い中小企業では、
大きな問題なのです。

 
組織づくりをやってきたとM社長はいいますが、

その組織も、

”M社長あってこそ”
 
M社長のパワー・エネルギーで
引っ張っていたのです。 

 
また、

”組織は戦略に従う”

アルフレッド・D・チャンドラー氏の言葉ですが、
M社長の頭の中にある戦略自体が、
まだまだ曖昧であることも、原因のひとつです。
曖昧なものは、当然ながら、曖昧に人には伝わります。

私の話を聞いて、
M社長は納得したようです。

「確かに…、
自分の会社にかける時間が減るとともに、
自社にかけるパワーも減っていたように感じます。
自社と経営者団体、どちらが大切なのかを
見失っていました」

しかしながら、

役員を引き受けてしまった今、
時間がない云々は言ってられません。
まずは時間配分から考え直しています。
 
 
それと同時に、

シンボリック経営®では、
社長に依存しない組織をつくるために
企業戦略も考えていきますが、
M社長の頭の中にあるものを改めて整理しています。

 
多くの中小企業は、
社長のパワー・エネルギーに頼っています。

もちろん悪いことではありませんが、
シンボリック経営が目指す、
長く愛される企業をつくるためには、
どこかで方向転換が必要です。

 
あなたは、
M社長のように、他のことで時間を奪われていませんか?

時間を奪われたとしても、業績が上がる組織になっていますか?
いま一度、点検してみましょう。

 

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中小企業の経営コンサルティング・経営戦略のシンボリック経営研究所
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