「村田先生、新しい会社四季報、見ましたか?」
投資に熱心なT社長が、話しかけてきました。
会社四季報とは、言うまでもなく
投資家の必須アイテムのひとつ。
株式を自由に売買できる
すべての上場企業の特色や注目材料、
業績、財務内容、株価の動きなどが
コンパクトにまとめられた季刊雑誌のことです。
”老後資金2千万円不足問題”が報道されたことをきっかけに、
自身の老後資金についても、本格的に考えるようになったT社長。
元来、真面目なT社長は、
株式投資についてもしっかりと勉強したうえで、
投資をしているようです。
「この会社が良さそうなんですよ!」
付箋がたくさんついた四季報のページを見せながら、
注目銘柄について熱く語るT社長。
四季報の情報だけでなく、
その企業のホームページや、
商品・サービスの口コミサイトのチェック。
投資家の集まるオンラインサロンからも情報収集し、
熱心に分析している様子がうかがえます。
投資することは、
もちろん悪いことではありません。
老後資金を貯めることは、重要なことです。
また、
身銭を切って投資をすることで
経済にも敏感になり、関心を持つようになります。
事実として、
T社長も、新聞をよく読むようになりました。
しかしながら、
T社長を見ていて思うことがあります。
それは、
”なぜ、その分析を、自社に対して行わないのか…?”
ということ。
注目銘柄の話をしているときのT社長は、
まるで、その会社の関係者であるかのように
饒舌でした。
しかし、
自社のこととなると…、
その饒舌は、どこかに行ってしまうのです。
たとえば、
「お試しサンプルのDM(ダイレクトメール)を送って、
サンプル請求は何%ですか?」
「サンプル請求から、その後の購入に至った割合はどれぐらいですか?」
「DMからの脱落、サンプル請求からの脱落の原因は
どんなことが考えられますか? また、その改善策は?」
これらの問いに、
T社長は、明確に答えられない。
なぜなら、自社の分析をしていないからです。
他社の分析は熱心にするのに、
自社の分析はしない。
分析をしないから、自社を理解できない。
理解できないから、改善もされない。
力の入れ方を間違っているのです。
私は、T社長に言いました。
「T社長、株式投資の勉強をしてきて、
だんだん分かるようになってきて、
ようやく面白くなってきたところだと思います。
買った株が上がった喜び…、私も分かります。
しかしながら、
T社長が、最も力を入れるべきは投資先は、
T社長の会社自体です。
これを絶対に忘れちゃダメです」
中小企業は、
社長自身が株主である、”オーナー社長”が多いです。
T社長も、オーナー社長でした。
つまり、
T社長の会社が儲かれば、T社長自身も儲かる。
本来は、最も効率のいい投資のはずなのです。
そのことを忘れて、
自社への投資が疎かになり、
他社への投資に一生懸命になるというのは、
”自社のことを諦めている…”
そう思われても、仕方がありません。
「社長(株主)自身が諦めている会社に、
T社長は、投資したいと思いますか?」
ちょっと…、
厳しいことを言ってしまったかもしれませんが、
これは、とても大切なことだと思うのです。
念のため、誤解なきように。
T社長自身は、諦めているわけではありません。
シンボリック経営®の導入も始まったばかりですが、
経営を変えていく意欲はあります。
意欲はありますが…、
どこか中途半端であったことは事実です。
今回をきっかけとして、
自身の会社に集中することを
T社長は約束してくれました。
繰り返しますが、
投資が悪いわけではありません。
しかしながら、
やるべきことの優先順位はあります。
T社長の場合は、
いまは、T社長自身の会社に集中すること。
そうすることが、
結果的に、老後資金についても、
良い結果をもたらしてくれるはずです。
ということで、
”一番の投資対象は、自社である”
このことを忘れず、
自社をしっかりと分析しましょう。
自社を理解することが、
成功への近道なのです。
ところで…、
投資家目線で見た場合、
あなたは、あなたの会社に投資したいと思いますか?
この視点を持てば、
自社を改善するヒントが手に入るかもしれません。
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