29通目:管理は愚策? 組織を動かすために、管理の前にやるべきこと。

 
「村田先生、コロナ禍で、
リモートワークが当たり前になったのはいいんですが、
社員たちの仕事ぶりに…、不安というか…なんというか…、
社員の管理をどうすればいいのか…、ちょっと悩んでいます」

そう話すE社長。
 
コロナ前、コロナ後で、
社員たちの顔を見る機会が圧倒的に減ったことで、
漠然とした不安を抱えているようです。

 
もしかしたら…、

これについては、
多くの中小企業経営者が抱えている悩みかもしれませんね。

「リモートワークで、本当に仕事をしているのか…?」

この思考になってしまうと、
多くの経営者は、同じ行動をとります。

 
それが、”管理”

社員たちを管理しようと動くのです。

 
たとえば…、

始業と終業を報告させたり、

日報を書かせたり、

定時のミーティングを開いたり、

もちろん、
これらが悪いわけではないのですが、

中には…、

作業自体には何の意味もなく、
ただ管理するためにやらせている…というか、
”監視”するために行っている場合もあるのです。

私も経営者の端くれですから、
この気持ちは分からなくもないのですが、
ただ管理するためだけの行動は、
逆効果になる可能性が高いと思っています。

 
なぜなら、

”誰しも、管理されたくはない”

管理されるのを好きな人はいないからです。

 
また、

”管理には限界がある”

これもまた、事実です。

いくら画期的な報告システムが生まれようと、
いくらIT技術が発達しようと、
人間の行動を、すべて管理することは無理なのです。

 
極論すれば、

”管理はムダ”

逆説的になりますが、
管理しない組織をつくることこそが、
一番の管理になるわけです。

 
…と、

口で言うのは簡単なのですが、
いったい、どうすればいいのか…?

これは、本当に難しい問題ですが、
ひとつのヒントになるのが、

”犬のリード”

です。

 
犬のリードとは、
犬を散歩させるときに、犬につないで使うものですが、
そのリードの種類には、

”フレキシブルリード”

リードが伸縮するものがあります。

 
犬が走ったときにはリードが伸びて、
行きすぎたらストップ!引き戻せるものですが、
これこそが、管理しない組織だと思うのです。

 
会社の方針内の行動であれば、”自由にさせる”
どこまでもリードが伸びていき、
社員たちも、管理されているとは思いません。

 
しかし、

方針外の行動をとったときには、
有無を言わせずリードを引き戻す。

 
つまり、

大切なことは、

”方針を徹底させること”

だと思うのです。

 
この方針にあたるものが、
会社のビジョンやミッション、クレド(行動規範)になるわけですが、
私は、E社長に質問しました。

 
「E社長の会社では、
社員の質問に答えるビジョン・ミッション・クレドになっていますか?

たとえば、
リッツ・カールトンホテルの有名なモットーは、

”紳士淑女をおもてなしする私たちもまた、紳士淑女です”

会社の方針から外れた行動がどんなものであるのか?
言わずもがな、このモットーが答えてくれている。
社員たちが迷ったときの答えになっていると思うのです。
そこに、管理というものは存在しません」

 
すると、E社長は、

「確かに…そうですね。
社員の管理をどうこう言う前に、
まずはビジョンやミッションの見直しが必要かもしれません」

 
中小企業の中には、
ビジョンやミッションがないところもあります。

あるにはあるも、
カッコイイ言葉の絵に描いた餅状態…、
そんな企業も意外と多いです。

 
しかし、それではもったいない!
それらを徹底させることで、管理がいらなくなるのです。

 
これは、シンボルにも同じことが言えます。

せっかくつくったキャラクターやロゴマークが、
単なるアイキャッチになっている…、
そんな企業が、なんと多いことか!
これでは、本当にもったいない!

キャラクターやロゴマークに、
しっかりと意味を持たせ、徹底することで、
社員たちの質問に答えてくれるものになるはずです。

 
管理せずとも動く組織が手に入ったら…、

企業の成長スピードは、
2倍にも、3倍にもなることでしょう。

 
ということで、

リモートワークを導入している企業も多いと思うのですが、

”社員の質問に答えてくれるビジョンやミッションになっているのか?”

この機会にぜひ、見直してみてください。

管理を考えるのは、その後でも遅くはありません。

 

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