24通目:人は幸せについてくる。経営者は、幸せになるためのビジョンを語れ!

 
「おはようございます」
E社長の挨拶で、朝礼が始まりました。

 
E社長との打ち合わせに
ちょっと早めに着いてしまった私は、
朝礼を見学させてもらいました。

 
早めに着いてしまった…というのは、
実はウソで、
本当は、朝礼の様子を見てみたかったのです。

 
というのも、

最近、E社長の会社内部に
小さな異変を感じていたからです。

どんな異変か…、

それは、

E社長の求心力の低下を感じる…、

それだけでなく、

E社長の右腕的存在である、
Eさん…、同じイニシャルだとちょっとややこしいので、
下の名前でYさんに求心力が集まっているように感じるのです。

 
もちろん、

”Yさんによる乗っ取り!”

そんな悪い意味ではないのですが
それでも…、どこか…、社内に違和感を覚えるのです。

 
その背景には、
ここのところの業績不振があるのではないかと思います。

コロナという大きな外部環境の変化を受け、
E社長の頭の中は、懸念事項でいっぱい…。

そんな頭の中を整理したいと
ご相談に来られたのが数ヶ月前。

E社長の不安は相当なもので、
その不安が、社内への発信力低下(回数・質)につながり、
求心力にも影響を与えているのではないか…?

私には、そんな仮説があり、
朝礼を見てみたかったのです。

 
ご相談に来られてから、
少しずつ頭の中を整理をして、
再生に向けて動き出すも、
E社長が掲げるビジョン・将来像は…、どこか物足りない。

自信を失っているのか、
言葉を選ばずに言えば、小さいのです。

 
たとえば、

”売上をコロナ前に戻す”

それは…、

売上が10分の1になってしまったら、
そう思うのは仕方がないことかもしれません。

いまも、安心して眠れる夜はないでしょう。
一日も早く、元に戻したい…、
E社長の、紛れもない悲痛な叫びです。

 
私がE社長の立場になったら…、

同じことを思うかもしれませんが、
これだと、やはり弱い。

 
もちろん、
元に戻ることは簡単ではありません。

元に戻しただけでも素晴らしいことですが、
社長が掲げるビジョンや将来像には、
いくら、きれい事といわれようが、
夢やワクワク感が必要なのです。

 
つまり、

どうせ掲げるなら、

”元に戻ろう!”、

ではなく、

”前よりも更に!”

これです。

  
そして、

それと同時に必要なのが、

”強い願望を持つこと”

夢を夢で終わらせない、
絶対に実現する、やる、やり遂げなければならない。

そんな強い願望は、
”正しい信念”から生まれます。

社長が掲げるビジョン・将来像が実現したら、
みんなが幸せになれると信じられること。

自分だけ儲かればいい…そんな信念では、
強い願望は持てないのです。 

 
たとえば、

現代の経営の神様である稲盛和夫さんが、
JAL再生を託され、会長に就任したときの
こんな話があります。

 
稲盛さんが、会長に就任したときには、
既に、企業再生支援機構による事業再生計画が出来ていたそうです。

その事業再生計画が、
いわば、ビジョン・将来像です。

破綻からの再生を図る…、

その中身は…、

・5千億円を超える債権放棄のお願い

・企業再生支援機構からの3,500億円の出資

・16,000人の人員削減

・給料の20~30%カット

・従業員の年金(OB含む)を、30%~50%カット

・国内外路線を40%縮小

・大型機の退役

などなど、痛みを伴う改革のオンパレード。
まぁ、当然といえば、当然なんですが…。

 
そして、

それらを実行し、

1年目の営業利益を、641億円、

2年目は、757億円、

3年目には、1,175億円を達成し、再上場。

企業再生支援機構からの出資金を返還する、
というものでした。

 
この計画が発表された当初、

「無理!計画通りにいくはずがない!」

専門家も含め、多くの人が思っていましたが、
現実は、わずか2年8ヶ月で再上場を果たしたのです。
これは、本当にスゴイことだと思います。

 
破綻して、再生を目指す…、

航空業界という、誰もが憧れる華やかな環境から、
夢も希望もない環境に落ちてしまったわけですから、
再生に取り組んだ当初の社内は、おそらく暗かったはずです。

 
それでも再生できたのは、

”3年で再上場”

一般常識からは考えられないビジョン・将来像を掲げ、
それを絶対に実現するという、
強い願望を持ったリーダーがいたからだと思うのです。
 
 
稲盛さんは、社員たちを鼓舞するために、
次の言葉を、幾度となく語り、
社内のいたるところに貼ったそうです。

「新しい計画の成就は、ただ不屈不撓(ふくつふとう)の一心にあり。
さらばひたむきにただ想え、気高く、強く、一筋に」

計画を達成するためには、挫けず、強烈に思い続けること。

その会社で、最も優れたビジョンを持つ者が、
真のリーダーになるのです。

 
ということで、話を戻しましょう。

朝礼を見学すると、
E社長の発する言葉には、「やってやるぞ!」
そんな気概を感じる言葉がありませんでした。
それに対してYさんには、それがありました。

朝礼1回1回の差は、とても小さいですが、
この小さな差も、回を重ねることで、やがて大きな差になります。

”コピー用紙の積み重ね”
一枚一枚は薄い、あのコピー用紙が、
500枚の束になると、あれだけの厚さになる。
そんなイメージです。

 
朝礼を見学した後、
E社長に、この話をしました。

E社長にとっては、
耳の痛い、聞きたくない話だったと思いますが、
真剣に耳を傾け、終わったときには、

「手遅れになる前に聞けて良かった」
そう言ってくれました。
きっと、次の朝礼からは、ガラッと変わることでしょう。

 
ちなみに、Yさんとの関係は良好です。

YさんはYさんで、
会社のことを考えて動いてくれる素晴らしい人材なのです。

このYさんのチカラを活かすのも、
私のひとつの役割だと思っています。

 
ということで、

あなたの会社で、最も優れたビジョンを持つ人は誰ですか?

もちろん…、

社長である、あなたのはずです!

 
ただし、

いくら優れたビジョンを持っていても、
伝えようとしなければ、伝わりません。

その伝える手段のひとつが、”シンボリック”

シンボルとして、目に見えるカタチにする効果は、
とてつもなく大きいのです。

 
あなたの持つ優れたビジョンは、
社員や取引先に伝わっていますか?

 

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