42通目:伝説のつくり方。

 
「ちょっと嫌いになりかけてますね…」
あるスタッフの仕事ぶりに、
そんな言葉をつぶやいたK社長。

 
どうやら、

よく出来ると思っていたスタッフが、
実はそうではなかった…ようで…、
連日の説教タイム。

 
といっても、

もちろんパワハラ的なものではなく、
きちんと叱っているのですが、
それでも、なかなか改善されず…。

  
期待が大きかった分、
その反動は大きいようで、
怒りを通り越しての、”嫌い”

  
こうなってしまうと、
関係改善のハードルは、
かなり上がってしまいます。

 
経営者も、ひとりの人間。

ダメだと分かってはいても、
一度抱いてしまった感情には逆らえない…。

人を雇ったことのある経営者なら、
K社長の気持ちは、
痛いほど分かるのではないでしょうか。

私も…分かります。

 
これまでのK社長の会社は、
奇跡的に、優秀な人材が集まっていました。

”1言ったら、10分かる”

誰もが知っている大企業ならいざ知らず、
中小企業で、これはもう…、本当に奇跡。

 
奇跡…なんていうと、

叱られてしまうかもしれませんが、
中小企業に集まってくるのは、
基本的には、私のような凡人なのです。

 
これが現実で、
とびきり優秀な人が集まる…ということは、
奇跡以外の何物でもありません。

 
たとえば、

”掃除”

掃除をすることは、
5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)のひとつです。

身の回りをきれいにすることで、
心構えが変わり、仕事が捗り、
結果的に、企業も儲かる…ということですが、

もし、そうであれば、
すべての企業でやった方がいいはずですよね。

 
しかし、

現実は…、

自分たちで掃除を行う中小企業に対し、

大企業では、
清掃業者が入っているところが多い。

大企業では、自分で掃除をする…、
なんてことはないのです。

 
この差が、
 
”土台・基礎力の違い”

大企業には、5S活動をやらなくても、
土台・基礎力が高い人が集まってきているわけです。

そんな人が次々にやってくるのが大企業ですから、
辞める人が出てきても問題ありません。

 
しかし、中小企業は違う。

人を集めること自体が、そもそも大変ですよね。

苦労して集めた人材を
土台・基礎力がないからといって諦めていたのでは…、

いつまで経っても大きくなりません。

 
つまり、

”集まった人材で、伝説のチームをつくる”

この考えを持つ必要があるわけです。

 
そのために必要なことのひとつが、

”とんでもない基準を掲げる”

ということ。

 
たとえば、

「競合会社に、何とか追いつこう!」

こんな基準を掲げたら…、

やる気が出ないですよね。

 
伝説をつくるわけですから、

”世界一”

”日本一”

”いままでになかった”

”まったく新しい”

”誰もやらなかった”

こんな基準を掲げることで、

「よし! やってやろうじゃないか!」

気持ちにスイッチが入るわけです。

 
つまりは、”会社の方向性”

どれぐらい、ワクワクする方向性を示せるか?
これが本当に重要なのです。

 
試しに、

あなたの会社でも、
”伝説”という表現をしてみてください。

「オレたちで伝説をつくろう!」

文章にすると…、

恥ずかしいところもありますが、

きっと、

この言葉の威力に気がつくと思います。

 
そして、

それを達成するための、”教育の仕組み”

土台・基礎力がない前提で、
しっかりとした教育の仕組みをつくる、
これも重要なことです。

 
これらを説明したうえで、
K社長に言いました。

「K社長は、これまで本当に人材に恵まれていました。
これも、K社長の人徳だと思います。

これまでの人材に比べてしまうと、
今回問題となっているスタッフは、見劣りするかもしれませんが、
私から見れば悪くありません。”普通”です。

会社が大きくなっていけば、いろいろな人が入ってきます。

これを機に、

普通の人が分かるように、

”ワクワクする、とんでもない基準”

そして、

”教育の仕組み”

これをしっかりつくっていきましょう」

 
私の話を聞いたK社長は、

「ちょっと気が楽になりました。

確かに、いままでが優秀過ぎたのかもしれません。
○○さんが普通と分かっただけで、
冒頭の言葉は撤回できそうです」

 
K社長の会社は、

ロゴマークや、ホームページもなく、
会社のビジョンや、ミッションもなく、
それでも5億円規模の年商を上げてきました。

つまり、

”言わなくても分かる”

そんな優秀な人たちの集まりだったわけですが、
更なる発展のために、シンボルを含め、一生懸命考えています。

「シンボルが出来たら、とんでもない会社になる!」
いまから、そんな予感を、ビシビシ感じています!
 

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