「やっぱり、息子に継いでほしい」
後継者問題は、
どんな経営者にとっても、
頭を悩ます問題のひとつです。
運送業を営むY社長も、
どうやって継がせるか?
これを考えると夜も眠れない…と
相談にお越しになられました。
それでも、
後継者となる人材のあたりがついているのなら
まだ安心です。
ある調査では、
約65%の企業には、
”後継者自体がいない”
とのこと。
これは、
命を懸けて会社を育ててきた創業者にとっては、
とても辛いことでしょう。
そういう意味では、
後継者のあたりがついているY社長は
とてもラッキーと言えます。
「村田先生、息子はまだまだひよっこで、
少なくても、あと10年は修業が必要だと思っています。
ですが、何をどう始めたらいいのか…、
気持ちばかり焦ってしまうんです…」
そんなY社長に、私は言いました。
「Y社長はまだ50代と若いですよね。
その段階から、後継者問題を考えるというのは、
素晴らしいと思います。
人間というのは、
痛みを感じないと動かないところがありますからね。
そろそろ後継者を…そう思ったときには、
”時すでに遅し”
世の中で、
後継者不足が叫ばれている、今の現状を見ても、
多くの経営者は後回しにしてしまうんですよね」
話は続きます。
「まず、考えなければならないことは、
創業者経営と、二代目経営は、そもそも違う経営である。
これを創業者であるY社長と、
二代目になるであろう息子さんが理解すること。
これが、とても大切です」
「同じ経営だと思うから、
うまくいかないことがあります。
親父に負けるか!なんて張り合ってしまうのが
その典型ですよね。
もちろん、負けないように頑張ることは大切なのですが、
その頑張りが、間違った方向に行ってしまうことが
多いのも事実です。
まずは、”同じ経営ではない”
言い方を変えれば、競技自体が違うものであるということを
理解することです」
さらに続けます。
「そして、ここからが大切なことですが、
Y社長の経営は、ワンマン経営ですよね。
もちろん、いい意味でのワンマン経営です。
いい意味でのワンマン経営というのは、
衆知を集めて、それを元に考えて、最後は社長の責任で決める経営。
人の意見を聞かない経営ではありません。
そうすると、どうしても、Y社長が前面に出ざるを得ません。
Y社長が、カリスマになってしまうのです。
そのカリスマと比べられる二代目は…、
かなり厳しい環境になることは容易に想像ができるでしょう。
Y社長も聞いたことがありませんか?
”あの二代目はダメだな…”
なんていう噂話…」
そこで、
シンボリック経営の出番です。
シンボリック経営では、
二代目にバトンタッチする前に、
1.5代目を育てることを考えています。
創業者 → 1.5代目 → 二代目
スムーズな事業承継のために、
1.5代目をつくるのです。
二代目としても、
ある日突然、バトンタッチされても困りますよね。
そして、
その1.5代目になるのが、”シンボリック”
創業者の考えを、シンボルに移行し、
シンボルを中心とした経営にしていくのです。
”シンボルが戦略的になれば、経営自体が戦略的になる”
社長の想い、商品・サービスに込めた想い、
3年計画、文字言語化・数値化…、
シンボルをつくる過程で考えることが、
経営自体をハッキリとさせるのです。
経営自体がハッキリすれば、
必然的に、二代目の教育、
これも明確になります。
たとえば、
「あなたのお客さんは、
なぜ、あなたのところから買っているのですか?」
これを明確に答えられる経営者は
そう多くはありません。
つまり、
誤解を恐れずに言えば、
”自分自身がよく分かっていないものを
継がせようとしている”
これだと、何をどうしていいのか…、
分からなくなるのも当然です。
ということで、
Y社長はいま、
1.5代目となるシンボルづくりに励んでいます。
会社の顔を、Y社長からシンボルへ。
ただでさえ大変な二代目経営を
少しでもやりやすい環境でバトンタッチするために
シンボルづくりは必須なのです。
また、
創業者の想いを込めたシンボルをつくることは、
二代目経営に必ず役に立つことでしょう。
たとえば、”選択”
経営は、選択の連続です。
時には難しい選択を迫られることもあるのが経営ですが、
二代目が判断に迷ったとき…、
シンボルを振り返り、
シンボルに込めた想いを理解することで、
正しい判断ができるはずです。
単なる造形ではない、
シンボリック経営®なら、それができるのです。
これらは、もちろん簡単なことではなく、
時間も掛かりますが、
二代目にバトンタッチするまでには
まだまだ十分な時間があります。
早めに動いたY社長の決断力が
きっと大きな利益をもたらすことでしょう。
命を懸けて育ててきた会社を
長く愛される会社に変えるために
Y社長と共に、奮闘中です。
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