今週の提言(コラム)
Symbo からの手紙 ~シンボリック経営の視点~

 

「今日が勝負だな!」

緊張した一日のスタート。

今日は、S社長に、ある宣告をしなければなりません。
うまくいかなければ、S社長とは、これで最期になるでしょう。

 
約束の時間は、朝8時。

時間ピッタリに、受付に備え付けの受話器を取り、
内線番号01を押します。

 
いつもはS社長の要望で、
午後のミーティングが多いのですが、
今回は、早朝ミーティングを提案したのです。

 
「村田先生、おはようございます」

まだ誰もいないオフィスに、
S社長の声が響きます。
 
「S社長、おはようございます。朝早くすみません」
社長室に通され、ソファーに座ります。

 
「まだ誰もいないので、こちらで」

コンビニのコーヒーを、
カップホルダーから取り出し、
テーブルに置くS社長。
 
「コンビニのコーヒーも美味しくなりましたよね」

いつもとは違う早朝ミーティングに
何かを感じ取っているのか…、

場を持たせようとするS社長がいました。

 
お互いにコーヒーを一口飲んだところで、
いよいよスタートです。

 
「S社長、今日は大事な話があって、
まだ誰もいない朝に時間を取ってもらいました。

これまで、S社長の会社発展のために
いろいろやってきましたが、
いまいち成果が出ていませんよね。

毎回の課題も、果たして本気で考えたものなのか…?
疑うレベルです。

このまま続けても、思うような成果は出ないと思うのです。
S社長は、本気で会社を良くしようと思っていますか?

 
私の問いに、S社長の顔が引きつります。
しばらく無音の世界となりました。

 
「もちろん、会社を良くしようと思っているからこそ、
村田先生にお願いしているわけで、
そんな言われ方をするのは、心外です」

ようやく口を開いたS社長。
私は構わず続けます。

「では、なぜ、ここ数年、業績が横ばい、
伸び悩んでいると思いますか?」

 
考え込むS社長に、私は言いました。

それは、S社長の気の緩みが原因ですよ。
今日、なぜ朝に時間を取ってもらっているか分かりますか?
S社長、最近は午後出勤が常態化しているみたいですが、
午前中は何をやっているんですか? 仕事ですか?
社員にヒヤリングしたところ、どうもそうではないようなのですが?」

 
S社長は、本当は会社を発展させたくないのではないですか?
いままのままでも、給料はそれなりに貰えるし、時間は自由に使える。
誰にも叱られないし、居心地がいい。

S社長は、そんなつもりはないかもしれませんが、
行動がそうなっていると思うのです。

社員たちはよく見ていますよ。
社長が必死なら、必死の社風になるし、
社長がのんびりしていれば、のんびりの社風になるものです。

体を壊すまで働けという意味ではないですが、
業績を伸ばしている社長は、もっと必死ですよ。

S社長、そんなつもりはなくても、気が緩んでいませんでしたか?」

 
社長の気の緩みは、業績に大きくします。
社員たちは、それを敏感に察知するのです。

いまから10年ほど前、
ある素材の開発で注目され、成功した
岡山県の同族会社が、
TV番組「カンブリア宮殿」に取り上げられていました。

 
その同族会社の社長は、
昼頃出社して、午後2時ぐらいには帰る…。
会社に来ないこともある…、

しかも、

「会社が好きじゃない」と発言…。

その社長は、経営者というよりは、研究者。
本を読んだり、研究に時間を費やしたかったようですが、
それで経営者が務まるほど、
経営者の仕事は甘いものではありません。

ほどなくして、その会社は倒産しました。

 
この社長も、
気が緩んでいるつもりはなかったと思うのですが、
行動がそうなっているのです。

 
私はこれを、

”そこそこ食える病”

と呼んでいます。

最初は死ぬ気でやっていたものが、
そこそこ食えるようになると、出来なくなってしまう。

これは自覚症状もなく、おかされている人が多いので、
とても厄介です。

  
何を隠そう、私自身もそうでした。

自分では頑張っているつもりでも、
それはつもりでしかなく、
心のどこかでは、変わりたくないと思っていたのです。

 
しかし、
それでは、会社がうまくいくはずがありません。
至極当然の流れとして、伸び悩む。

伸び悩みが続けば、そのうち下降局面に入り、
最悪の場合は、倒産になるのです。

 
この、”そこそこ食える病”を脱するには、
本人が気づくしかありません。

私は運よく気がつくことが出来ましたが、
この病は、完治が難しい…。

一度気がついたとしても、
人間は、易きに流れるもの。
ぶり返す危険性が、かなり高いのです。

ということで、

私自身は、
このままではマズイな…そう感じたときは、
自分自身に、こう問いかけるようにしています。

「いつまで、しょぼい会社をやれば気が済むんだ!」
 
これは、会社の大小ではなく、
志の問題です。

志のある会社は、
現状に満足せず、常に高みを目指せるものです。

 
さて、S社長はというと…、

決意の朝ミーティングのあと、
少しずつですが、朝から出勤しているようです。

 
「いきなり毎日だと、社員たちに気持ち悪がられるんで…」

照れながらそう答えるS社長は、
確実に顔つきが変わったように見えます。

もともと実力があるS社長ですから、
行動が変われば、業績も変わることでしょう。

 
”そこそこ食える病”

私自身もおかされた病ですが、
これは本当に厄介です。

おかされてるかも…、

そう感じたときは、自分にこう問いかけてください。

「いつまで、しょぼい会社をやれば気が済むんだ!」

劇薬ですが、効果は保証しますよ!

 

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