今週の提言(コラム)
Symbo からの手紙 ~シンボリック経営の視点~

 
「さぁ…、行くか!」

駅から10分ほど歩き、
お客さまのオフィスビル前へ。

ここで、改めて気合いを入れ直します。
 
なぜなら、
そのビルにはエレベーターがないのです…。

階段で6階へ…。

息も絶え絶え…ようやくたどり着くも、
その様子を悟られまいと、
平静を装いながらインターフォンを鳴らします。

 
「村田先生、こんにちは! 
大変でしたよね。いつもすみません」

O社長が出迎えてくれました。
 
O社長が経営するのはデザイン会社。
主に、ママ向け・子ども向け商品のデザインをつくっていますが、
特徴的なことのひとつは、O社長を含め、

”女性のみの会社である”

ということ。
 
扱う商品がママ向け・子ども向け商品ということもあり、
女性の感性を大切にしたいというO社長の考えです。

白で統一された
オシャレな会議室に通され、
早速、前回の課題に入ります。

 
前回の課題は、シンボルに込めるストーリー。
会社を現す、象徴的な出来事をまとめる作業でした。
 
前回のコンサルが終わった後、
メールなどで何度かやり取りするも、
どうにも…、うまくまとまらないようでした。
 
そのやり取りでも感じていたことが、

”女性のみの会社である”
 
ここを前面に出そうとし過ぎている、
ということ。
 
もちろん、
女性だからこそ…という特徴で考えるのは
悪いことではありませんが

そこだけに目を向けてしまうと、
象徴的な出来事の幅が狭くなってしまうのです。

 
私は、O社長に言いました。

「象徴的な出来事というのは、

”らしさ”

をつくることです。
 
たとえば前回、
ジョンソン・エンド・ジョンソンと、
ブリストル・マイヤーズの話をしましたよね。

あの対応の差が、”らしさ”

象徴的な出来事というのは、
それを聞けば、どういう会社かが分かり、
そして、誰かに話したくなるものなんです

 
ご存じない方もいらっしゃるかと思いますので
ここで補足を…。

 
1982年に、アメリカ・イリノイ州のシカゴで、
「タイレノール事件」というのが起きました。

ジョンソン・エンド・ジョンソンが販売する
「タイレノール」という頭痛薬のカプセルに毒薬が混入され、
それを服用した人が亡くなってしまったという事件です。

 
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、
このとき、どういう措置をとったかというと、
稼ぎ頭の主力商品である「タイレノール」を、
”全米すべての”ドラッグストアから引き上げたのです。

 
このような衝撃的な事件では、
先日の京王線事件のように、
模倣犯が出ることがありますが、
この事件でも模倣犯が出ました。

コロラド州のデンバーで、
ブリストル・マイヤーズが販売する「エキセドリン」という頭痛薬に
毒薬が混入されたのです。

 
そのとき、
ブリストル・マイヤーズが、
どういう措置をとったのか?
 
ブリストル・マイヤーズは、
”コロラド州内のドラッグストアからのみ”
「エキセドリン」を引き上げたのです。
 
そして、直後に会長が記者会見をして、

「投資家のみなさん、ご心配ありません。
この事件がブリストル・マイヤーズの収益に与えるインパクトは
それほど大きくありません」

こう発表したのです。

 
この違いが、”らしさ”

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、
イリノイ州で事件が起こりましたが、
”全米すべての”ドラッグストアから引き上げた。

一方の、
ブリストル・マイヤーズは、
コロラド州で事件が起こったから、
”コロラド州のドラッグストアのみ”引き上げた。

 
つまり、

ジョンソン・エンド・ジョンソンが見ていたのは、
”お客さま”

ブリストル・マイヤーズが見ていたのは、
”投資家”

だったというわけです。
 
この事件のあと、
両社ともカプセルをやめて、パッケージングを変更。

現在でも主流のタブレット式に切り替え、
外から開けると分かるようにし、
毒物混入などを防ぐ措置をしたうえで、販売を再開。

「タイレノール」と「エキセドリン」
どちらも同じ頭痛薬ですが、
どちらが売れたのか…?

言うまでもないですよね。

 
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、
会社の損害よりも、

”消費者を守ってくれる会社”

という認識が広がった…というお話です。

 
象徴的な出来事というのは、
会社の強みを、分かりやすく伝えるのに有効です。

 
私は、O社長に言いました。

「O社長、私のクライアントの中には、
女性だけの農園がありますが、
参考までに、その農園のお話をしますね。

その農園では、

”食べ頃に出荷する”

これを徹底しています。

一般的には、完全に熟す前に収穫して、
発送してしまうところが多いです。

なぜなら、
日持ちの問題などがあるからです。

 
でも、その農園では、

”一番おいしいときに、食べてもらいたい”

この想いから、
一日に何度も何度も果物をチェックし、
お客さまの手元に到着したときが
一番の食べ頃になるように出荷しています。

その過程では、
たくさんの大変な出来事があるのですが、
その出来事を、象徴的な出来事として、まとめています。

 
そこには、

”女性だからこそ…”

というのはあまり関係がありません。

もちろん、業種が違うので
何とも言えないところもありますが、
考え方は参考になると思います。

一度リセットして、
いい意味で単純に、

”何のために会社を経営しているのか?”

これを考えてみたらどうでしょうか?」

 
私の話を聞いて、
O社長は、改めて起業からのストーリーを
思い出すかのように話してくれました。

 
その途中…、

「それ!それ!、そのエピソードですよ!」

私は、まるで、
ひな壇のお笑い芸人のようにツッコミを入れました。

 
「こんなのが、象徴的な出来事になるんですか…」

半信半疑のO社長。

O社長に限らず、
意外と自分のことは分からないものです。

 
象徴的な出来事が見つかったO社長の会社は、
素晴らしいシンボリックになる予感がします。

  
すべての会社に、
シンボリックにつながる、象徴的な出来事は必ずあります。

それを見つけるためには、

”あなたの起業物語を、誰かに話してみること”

ぜひやってみてください。

 

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